みなとみらいを巡る青い2連結のバスを待つ、とあるバス停での出来事。
4人掛けのバス停のベンチに、韓国から来たご家族が座っていた。
アッパ、オンマに、小学校の高学年か中学生ぐらいの息子さんと、小学生の娘さん。
日本に旅行に来ているのか、韓国語でどこを巡るかアプリや観光地図を見せながら話している。
そのバス停のベンチの後ろには、新しく整備された広い歩道。
楽しい休日を、みなとみらいで過ごすため、多くの人が通り過ぎる。
しばらくすると、韓国人のご家族の後ろの歩道に、女の赤ちゃんを抱いた日本のお父さんとお母さん。
バスを待つ列に並ぶ。
赤ちゃんはアンパンマンミュージアムに行って思いっきり遊んできたのか、お父さんの腕の中でぐっすりお休み中。
この韓国人のご家族はバスの車道を向いて座っていて、後ろに並ぶ赤ちゃんのご家族は見えない。
ふとした瞬間、韓国の息子さん、後ろに赤ちゃんを抱え、列に並ぶ日本のお父さんが見えたのか、少しソワソワ。
するとふと、バス停のベンチから立ち上がり、黙ってバス停奥の広告前へ。
そこでスマホをまた見始める。
何かを見に席を立ったわけでもなさそう。
4人掛けのベンチの左から2つ目の席を立ったことで、そこが空席に。
空いた席に、アッパが席を詰めオンマの隣へ。
結果、一番左のベンチが空席に。
そこに流れる「お父さんと赤ちゃん、座っていいよ」的な空気感。
暑いくらいの秋晴れの午後のバス停、静かな優しい風。
私は感じたよ。韓国の息子さん、韓国で躾けられた通り、この赤ちゃんとお父さんのためにベンチを譲ったんだよね。
でも日本のお父さん、韓国の男の子が譲ったであろうベンチには座らず、眠る赤ちゃんを抱え立ったままバスを待つ。
韓国はバスや地下鉄では、席を譲る習慣があるから、自然と海外の日本でも、その思いやりが出たんだろうね。
日本語は分からなそうだから「どうぞ」の声もないけど、バス停に漂う温かい優しさを、きっと感じ取った人はいたと思う。
私から遠い奥の方に行って、立ちながらバスを待つ韓国の男の子。
私は韓国語で「席譲って偉いね 자리를 양보해서 정말 착하네」とその息子さんに言いたかったけど、遠くに離れて立っていたので声もかけられず...。
外国に出ても、優しい対応ができる子
きっと大人になっても、自ら思いやりをさりげなくできる人に。
言葉がなくても温かさを感じる、バス停での数分の出来事。
みなとみらいを巡りながら、韓国の男の子のさりげない優しさに、とても心が温かくなったモメント。